本記事は、クリスチャン新聞に連載された全10回のうち、最終回の第10回をブログ向けに掲載したものです。クリスチャン新聞の連載記事一覧はこちらから
 

障害年金と障害者手帳

病気やケガで日常生活に支障が出ているときや、働くことが難しいときにもらえるのが障害年金。65歳になるともらえる老齢年金と同じ国の年金です。

年金額は、初診日が国民年金か厚生年金か、また、障害等級や家族構成などによって異なりますが、月5~17万円受給できます。

障害者手帳を持っていないから障害年金はもらえないと思っている方がいますが、手帳は関係ありません。実際、私のところで障害年金が受給できた人の6割は、障害者手帳を持っていませんでした。

牧師のうつ病と障害年金

私が社会保険労務士として開業し、3年が経った頃、関東地方の教会のある牧師夫人から次のような相談を受けました。「夫は牧師ですが重度のうつ病で、この1年間礼拝にも出席できず、ほとんど床に伏した状態です。障害年金の申請をぜひともお願いしたい」。このような依頼でした。

初めて取り組む障害年金で認定されないことも多い中、3か月後に障害厚生年金2級が認められました。月十数万円の障害年金が支払われることになり、この時ほど人の役に立てる喜びを感じたことはありませんでした。これを契機に北海道から沖縄まで、全国8千教会の牧師や信徒を対象に、障害年金に取り組むようになったのです。

私は今でこそ障害年金を専門にやっていますが、社会保険労務士になる前は、障がい者の世界を全く知りませんでした。高校生の頃から20年にわたりクロスカントリースキー競技に取り組み、県の代表として国体など全国大会で頑張っていました。

スポーツの世界では、勝利することに価値があり、勝利者は絶対的な存在として賞賛されます。このような競技の世界にいましたから、「障害のある方」に触れる機会は全くなかったのです。

勝利することにこそ価値があると思っていた自分が、今は生きることに困難を覚えている障害をお持ちの方々の支援を仕事にしている。この生き方の変化に自分でも驚きます。

障害年金受給で人生が変わる

「障害年金などもらったら、本当の障がい者になってしまうぞ!」と反対する親がいます。「障害年金をもらうと、それに甘んじて社会復帰できなくなる」などと否定的な医師もいます。

しかし、決してそうではありません。障害年金を受給することで経済的な不安から解放され、治療に専念でき、体調が改善することで社会復帰をめざせるのです。

高校生の時に精神疾患を発症した30代の女性が来られました。「教会の多くの仲間に支えられ、助けられてここまで来ました。障害年金を受けることができたら、少しでも良くなって教会の人たちに恩返しをしたい!」このように言われたのです。

もう一人の方は、「今まで、生活のために働かなければと苦しかったが、障害年金のおかげでそのプレッシャーから開放されると、逆に働くことに前向きになれた。」と教えてくれました。

病の身で月15万円を稼ぐことは厳しいですが、障害年金を7万5千円受給し(国民年金加入の単身者受給額)、残りの半分を短時間のパートやアルバイトで稼ぐことで、心に余裕が生まれます。

また、「親の私が死んだら、この子は一人では生きていけない!」と相談に来られる親も多くいますが、障害年金受給が決まると本当に安心します。

障害ある方がかけがえのない人生を送ることができるよう、障害年金を自分の使命として取り組んでいきたい願っています。

クリスチャン新聞掲載「障害年金にかける想い」クリスチャン新聞掲載「障害年金にかける想い」