東京都千代田区神田で社会保険労務士を開業している富所正史です。

定年退職後60歳からの再出発、前回は「再雇用」、今回は「転職」

選択2 転職する(再就職)

定年退職後の転職の準備は、「遅くても55歳からスタート」すべきです。55歳なら定年退職まであと5年間、この5年間の準備が勝負です。

定年になってから、必死に仕事探しをしても、うまく行きません。退職後にハローワークに行く人がいますが、自分が思っているような仕事が見つかる可能性は皆無と思ったほうがいいくらいです。

私の事務所に就職相談に来た男性の言葉です。最近ハローワークに行ったが、「定年退職者の再就職は、夜の警備員、清掃、高速道路の料金収受員、タクシーの運転手(契約かアルバイト)そうした仕事しかない。それも1か月程度で辞める人が多く、今まで事務系の仕事にいた人には、お勧めできない」とハロワの担当者から言われ、あらためて再就職の厳しさを知ったと言っていました。

相談にこられた方は、有名私立大学・大学院院卒です。定年退職後の再就職は、学歴は関係ないようです。かえって、高学歴で高い地位にいた人は敬遠されてしまうのかもしれません。

厳しい再就職ですが、最大のメリットは、安定した収入です。

メリット

①安定した収入が得られる

65歳まではある程度の安定した収入が得られ、生活の見通しが立つということ。これは、再雇用と同様、最大のメリットです。

②能力が発揮できる

再就職の場合、その人の経歴や能力が評価されて採用が決まるわけです。ですので、その人が持っている営業力、会計知識、人事労務の専門性などが評価されての再就職ですから、新しい職場では、期待されます。重宝され期待されることは、本人にとって大変やりがいがあります。

③新たな気持ちで仕事に取り組める。

新しい職場でゼロからのスタート。一度すべてをリセットし、過去のしがらから開放されて仕事ができるのは嬉しいことです。

デメリット

①働けても65歳まで。

転職の場合、再雇用同様、65歳で職を失うということ。ほとんどの場合、65歳以上は雇ってはくれません。大企業になればなるほど65歳以上の雇用は皆無だと思って下さい。

②自分を変えることの難しさ

新しい職場でゼロからのスタートとは言っても、年齢は60歳。頭ではわかっていても、この年齢になると人間的に柔軟性に欠けることも確かですね。

大手企業で定年退職を迎え、第二の人生を従業員5人程の不動産屋の従業員としてスタートした男性から、相談の依頼がありました。社長との対立です。「あの社長は許せない!社会保険労務士として何とかならないか?」と相談を受けました。完全に感情の衝突です。数ヶ月後に連絡したら「あんな会社辞めた!」と言っていました。辞めて一件落着しました。

うまくいけばいいですが、定年後の再就職の難しさも感じました。