社会保険労務士(社労士)で年金アドバイザーの富所正史です。
障害年金を受給している人で最も多いのは精神疾患で全体の65%だそうです。
私のところにおいでになる約8割の方は、うつ病、統合失調症、発達障害など心の病をお持ちの方々です。
おいでになる方に「精神科で診断書を作成してもらってください」とか「診療内科で診断書を作成してもらってください」などと精神科、診療内科、メンタルクリニックなど深く意識しないで使っています。
精神科、診療内科、メンタルクリニックの違い、皆さんはなんだと思いますか?
最近、元サラリーマンの精神科医が教える「働く人のためのメンタルヘルス術」という本を読みました。この医師によると、精神科、診療内科、メンタルクリニックの違いはほとんど無いのだそうです。
診療内科、メンタルクリニックという看板を掲げているのは、患者さんが来やすいようにと考えてのこと、「精神科」に行くというより診療内科、メンタルクリニックに行くというほうが、気持ちのハードルが低い、患者さんに少しでも心のハードルを下げてもらうことを考えて看板を出しているのだそうです。
どの看板のドクターも精神科出身で、アプローチも精神科のやり方だけれど、診療内科やメンタルクリニックという看板を掲げているのは、患者さんのことを考えてのこと、どれを選んでも同じだと思って大丈夫ですと書かれていました。
それにしても、心の病で私のところにおいでになる方の多くが病院をいくつも変わっています。3つ4つは当たり前、中には10近くの病院を転院し自分でも前のことは思い出せないという方もおられます。引っ越したので近くの病院に変わったという人もおられますが、最も多いのが、医師との相性です。
「人格を否定された」「だから治らないんだよ、と怒られた!」「ニヤニヤ笑いながらの説明で真剣に診てくれない、信頼できない!」など、本当にいろいろ。相性はとても重要な要素なんだと強く思わされます。
書籍の精神科医によると、自分に合う病院を探すドクターショッピングは、必ずしも悪いことではないといっています。
お金も手間もかかって大変だが、自分の今のつらさをすべて預け、寄り添ってくれる医師を見つけるために多少の出費は惜しまない方が良いとのアドバイスです。「この人なら話をちゃんと聞いてくれる」と思えるドクターに巡り会うための必要なコストだというのです。
障害年金の申請において、初めて受診した時から現在までを時系列に書き出し、把握する作業は、多くの病院を渡り歩いてきた方の場合大変です。
しかし、この書籍を通して、医師と相性が合わずにいくつかの病院を変わるのも決して悪いことではないと思うようになりました。(2022.11.5)