社会保険労務士(社労士)で年金アドバイザーの富所正史です。

今日は「年金保険料、払える時に払うことの危険」です。社会保険に加入している人は、毎月の給与から「厚生年金保険料」が天引きされ払われていますから問題ありません。今回は、国民年金加入者にとって注意しないといけないことを書きます。

それは、国民年金の保険料、払えるときにあとでまとめて払うことは、障害年金においては大きな危険があるということ。

今日、日本年金機構・年金事務所を訪問しました。障害年金の書類をすべてそろえて提出する日です。今日の提出まで5ヶ月を要しました。

年金事務所の専門員が、「初診日前1年は未納がなく、きちんと納めてあるから大丈夫のようですね。いつ納めたか確認します!」
と言って保険料の納付履歴を調べ始めました。

すると、「初診日前1年間で、4,5月の保険料は、初診日より後に納めていますね。この方は、2ヶ月分を1年ほど遅れて払っています。」と言いました。

続いて、「初診日よりあとで払った保険料は、払ったことになりません。過去1年間未納がなければ確かにOKですが、初診日よりあとで払った2ヶ月分は対象にできません。この方法ではクリアできません。」と言われたのです。
※過去1年間とは「初診日が属する月の前々月までの1年間」だが、ここではパス。

続いて、「それでは、20歳から初診日までの期間、保険料を3分の2払っているかどうか、そしていつ払ったか確認します」と言い調べました。

「大丈夫です。初診日前に3分の2を払っていることが確認できました。良かったですね!」と言って書類は受理されました。5ヶ月間の取り組みが報われた瞬間でした。

障害年金は請求(申請)できる要件が厳しいです。お年寄りになってもらえる「老齢年金」は、2年前までさかのぼって保険料を納付することができ、納付した月は、「保険料を納めた月」として年金にしっかり反映されます。

一方、障害年金は、保険料の納付月数が基準に達しているか、達していても、その保険料が初診日より前に納められているかなど厳格に問われます。「1ヶ月不足かもしれませんがそこをなんとか」「困っている人を助けると思って何とかお願いします」のように泣きついても猶予されることは全くありません。

車の保険でも、事故が起きたあと、あわてて保険に加入しても保険の対象にしてはくれません。障害年金でも「初診日」を車でいう事故が起きた日として扱い、初診日前に保険料をきちんと納付していたか、初診日より後で保険料を納付した期間は対象にしないなど、あらためて障害年金のしくみについて学ばされました。

しかし、そうは言っても、将来自分は障害年金をもらうかもしれないなどと思いながら保険料を払っている人はいません。払えるときに払う、これだけでもとても立派なことだと私は思います。(2022.7.28)