社会保険労務士(社労士)の富所正史です。

今日のタイトルは、「恐るべし、保険料未納!

保険料未納(滞納)の恐ろしさを一番知っているのは、私たち社会保険労務士です。

「今は生活が大変だから免除して下さい!」「学生だから、在学中は猶予して下さい!」というように、手続きしてあればよいですが、何の手続きもしないで未納にしているととんでもないことになります。未納は恐ろしいです。

未納は、無断欠勤と同じ。会社で連絡もしないで1週間無断欠勤すれば、間違いなく解雇です。まずは、保険料の未納、滞納は絶対にしないよう、自分はもちろん、家族全員に教えてあげて下さい。

払えない場合、学生なら学生納付特例(がくせいのうふとくれい)という猶予(ゆうよ)、学生以外は、免除の申請を市役所・区役所に行います。

障害年金の第一関門は、国民年金の保険料支払いが基準に達しているかどうか。これが基準に達していないとアウトです。いくら泣きついても絶対にダメ、どうすることもできません。

この基準、定義が少し難しいですが、簡略して書きます。

①初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済み期間と保険料免除期間を合算した期間が3分の2以上あること。

②初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの直近の1年間に、保険料の未納期間がないこと。

①か②のどちらかをクリアしていればOK。要は、これまでの期間の「3分の2」又は「直近1年間」の保険料納付のどちらかを満たす必要があるのです。

初診日の前日において」とは、病気やケガを負った場合、「まずい、保険料納めていなかった!」と慌てて過去の保険料を支払ってもダメということです。保険は、事故が起きてから保険料を払うことは許さないのです。当然ですね。

「初診日の属する月の前々月まで」は、保険料の支払い期限は、翌月末日。12月保険料は、1月31日までに払えば良いのです。初診日の属する月の前月までとすると、保険料を納付する期限がまだ来ていない月までカウントしてしまう、そうならないために「前々月」としているのです。少し難しいですかね?

とにかく、初めて医者にかかった初診日に、払うべき保険料がきちんと払われ基準を満たしている必要があるのです。

私は、この5年間の中で保険料の支払いが不十分のため、日本年金機構に障害年金を請求(申請)できなかった方が3名いました。その中の一人は30代男性、請求して認められたなら、生涯にわたって3千万円は受給できたはずです。

しかし、保険料支払いが不十分で請求できないことがわかり、そのことを伝えた時、「生活保護だけは受けたくない!」と言って私の事務所のテーブルに突っ伏してしまいました。何とかしてあげたいがどうすることもできませんでした。その光景を今でも思い出します。

障害年金の依頼があった場合、私が最初にやることは、本人から委任状を書いてもらい、それを持参して日本年金機構の出先機関、年金事務所に行きます。そして保険料がどの程度納められているか確認し、次に進めるかどうか判断します。ここでアウトだと断念するしかありません。

保険料の支払いが基準に達しているかどうか、障害年金においてはとても重要です。未納の状態にしておいてはいけないというのはこうした理由からです。(2022.1.20)