社会保険労務士(社労士)の富所正史です。
障害年金③、今日は、「高い壁、初診日証明!」
障害年金で最も高い壁は、間違いなく「初診日」の証明です。
初診日とは、病気やケガで初めて医者に行った日のこと。
初めて病院(診療所・クリニック)に行った日を特定し、その証明を医師からしてもらう必要があるのです。
初めて病院に行った日が証明できず、どれほど多くの人が障害年金を受給できる人が断念したことか!私のところにくる障害年金の相談で請求(申請)できなかった一番はこの「初診日」の証明が取れなかったこと。
「初めて心療内科に行ったのが今から20年前、障害年金を請求したいのですが・・」と電話してくる方がいます。聞けば、初めての病院の名前は覚えているが、当時の主治医は亡くなり、病院はすでに廃業している。このようなケースは結構多いです。当然、20年前のカルテなど廃棄されて存在しません。
皆さんは病院のカルテの保存期間は何年かご存じですか?原則5年です。現在は、パソコンで管理していますのですぐにデータは消去しないと思います。10年程度なら残っている可能性はありますが、それでも保存義務は5年です。
しかし、20年前となるとカルテが保存されている可能性はありません。カルテの保存を5年以上にすることは、病院にとっても大きな負担になるのでしょう。精神科に通院している方、病院をいくつも変えているケースが多いです。今の病院は5つ目など珍しくはありません。病院としても1,2回しか来なかった人のカルテをいつまで保存しておくか、限界もありますからね。
私のところを訪問された女性ですが、初めてメンタルクリニックを受診したのが今から12年前、本人が病院に電話したら、12年前のカルテのデータは残っていないので、受診した証明はできないと言われました。
そこで、私が再度、12年前ですがパソコンにデータが残っていないかと病院に丁寧に問い合わせたところ、「電話かけてきた本人にすでに伝えてある。カルテのデータはない!消去した!(何回も電話してくるな!という感じ)」の強い口調で電話を切られてしまいました。そんなに強く言わなくてもいいのにと気持ちが落ち込みました。
しかし、カルテが残っていないので初診日の証明が取れないといってあきらめてはいけません!次の手があります。
初診日を証明できる書類、客観的な書類が入手できない場合、当時、確かに病気で通院していた事実を第三者に証明してもらう方法をとります。これが、「第三者証明」。初診の頃、確かに病気で通院にしていたと第三者から書いてもらいます。
それも3親等以内の近い親族はダメ。客観的な医師の証明と比較すると認めてもらえる効力は落ちますが、それでもできる限りの努力をすることで認定される可能性は大きくなります。
今日は、障害年金を国に請求する場合、初めて受診した日(初診日)を医師から証明してもらう必要があるが、カルテは保存されていなかったり、主治医は亡くなっていたり、当時の病院が廃院になって存在していないなどで初診日の証明が困難なケースが多いということを書きました。
しかし、とにかくあきらめないで他に方法はないかと探る、この時こそ私たち社会保険労務士の出番だと思います。次回は、初診日の証明が取れないときの方法についてもう少し詳しく書きます。(2022.2.1)