社会保険労務士(社労士)で年金アドバイザーの富所正史です。
10月21日(金)は、午前、午後と服部年金教室で研修でした。テーマは、「年金の繰り上げ」(くりあげ)つまり65歳より早く年金をもらうこと。
現在、年金は65歳からもらうことができます。これを5年早く60歳からもらうこともできますし、反対に5年遅く70歳からもらい始めることもできます。何も5年単位ではなく、1年、1ヶ月単位で早く、遅くと選択できるのです。
早くもらったら得かというと、早くもらい始めると年金額が少なくなり、それが一生続くというマイナス面があります。早くもらい始めてすべて得なら誰でもそうしますね。
それでは、早くもらい始める人はどんな人?
【早くもらい始める人】
早くもらう理由は、働くことができず、生活に困っているから。健康上や家族の介護など、事情があって働くことができない人がいます。貯金があれば何とか65歳まで生活をつなぐことができるかもしれませんが、働けないうえに貯金もないとなると生活を維持することができません。
何としてでも生きて行かなければならない、家族を支えなければならない、そのような人は、年金を早くもらう(繰り上げ)ことを検討してもよいと思います。年金額は減ってしまいますが、まずは生きて行くために収入の確保が最優先。
一方で、早くもらい始めると毎月の年金額が減ることは知っておいてください。それ以外にいくつかのデメリットがあります。
①年金は65歳から支給開始。65歳からもらう額を100とすると、60歳からもらうと70%に減額。それが一生続きます。一生に受け取る年金の総額は、60歳からもらい始めた人は、65歳からもらい始めた人に76歳8ヶ月で抜かれてしまい、その後、長生きすればするほど差がでてきます。
②早くもらい始めると受け取れなくなる年金があります。誰もが影響を受けるわけではありませんが、障害年金、寡婦年金、遺族厚生年金に影響がありますので注意が必要。
年金を早くもらわないと生活が維持できないのであれば仕方ありません。しかし、「いつ死ぬかわからないから、年金は早くもらった方が得!」と安易に考えると失敗します。
男性の場合、早くもらう「繰上げ受給」をした人は8.0%、女性は、14.8%で男性より6.8%高い。
女性は65歳より前、つまり65歳まで待たないで早くもらう人が男性よりかなり多い。なぜだろう?と思い巡らしています。
次回は、年金を遅くもらう、「繰り下げ受給」(くり下げ)について書きます。(2022.10.22)