10年前の3月11日、午後2時46分、震災が東日本を襲いました。
この日は、勤務する東京基督教大学(千葉県印西市)の卒業式。ステージ上で来賓の祝辞が行われていた最中でした。会場は出席者500名で満席。
皆さんはこの時間、どこにいて何をされていましたか?
この式に私の所属教会から10名が出席していました。卒業生の一人が4月から教会の牧師として着任が決まっていたため教会員10名が出席していたのでした。
祝辞の最中の突然の揺れ、チャペル塔の屋根や照明が崩れ落ちるのではと思うほどの大揺れ、やみそうもなく揺れはどんどん加速してくるようでした。
その時、当時の学部長(その後、学長になりました。)が壇上に駆け上がり、500名に避難指示を出しました。避難口は数カ所あります。的確な指示で屋外に誘導が行われ、その見事なリーダーシップと采配に周囲は心底感動したのです。
数日後、教会で卒業式に出席した婦人と地震の話しになった時の言葉が忘れられません。「あの大地震であっても、壇上で指示をしていた先生の的確な誘導で自分は全く怖いと思いませんでした!」と繰り返し言ったのです。
この「全く怖いと思いませんでした!」は、私が地震の最中に感じたことと同じだと思いました。指導者が落ち着き、その指示が適切でしっかりしている時に周りは安心を得るものだと痛感しました。
的確な指示で500名が避難し、避難後はすぐに教職員に役割が指示されました。「情報収集対応」「国・県・市の行政対応」「学生対応」「帰宅できない方の宿泊場所確保」「宿泊者の食料や日用品確保」その他のいくつかのグループに分かれ対応にあたりました。
市内に居住し地理がわかる私は、帰宅できない方々のホテルの手配、車でコンビニ、スーパーを回り、食料品、日用品の確保にあたりました。
あらためて、当時の学長、学部長の見事な連携と采配とリーダーシップは、10年経つ今でも忘れることができません。東日本大震災の3月11日は毎年この場面を思い出します。(2021.3.11)